投資の確定申告はいくらから?20万円ルールの罠と住民税の注意点

投資を始めるとどうしても気になってくるのが税金のことですよね。特に会社員の方だと投資の確定申告はいくらから必要なのかや、逆にしないとどうなるのかといった不安は尽きないものです。ネットで調べるとよく目にする20万円以下なら申告不要という言葉を信じて安心している方も多いかもしれませんが、実はそこには大きな落とし穴があります。住民税の申告漏れや医療費控除との関係など、知らないと思わぬペナルティを受けることもあるのです。この記事では、私自身が学んだ税務の知識をもとに、投資に関する税金の仕組みをわかりやすく整理してみました。

確定申告
  • 会社員が確定申告をしなければならない具体的な金額の基準
  • 所得税は免除でも住民税の申告が必要になるケース
  • 2024年度の税制改正による国民健康保険料への影響
  • 株やFXなど資産ごとの税金の違いと損益通算の仕組み
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投資の確定申告はいくらから?会社員の20万円ルール

会社員として働いていると、年末調整で税金の手続きが終わってしまうので、確定申告には馴染みがない方も多いですよね。「投資で利益が出たら確定申告が必要」とは聞くものの、具体的にいくらからが対象なのか、その境界線は意外と複雑です。まずは、多くの人が誤解しやすい「20万円ルール」の真実と、絶対に見落としてはいけないポイントについて解説していきます。

給与所得者の20万円以下は申告不要か

よく耳にする「利益が20万円以下なら確定申告しなくていい」という話、これは半分正解で半分間違いなんです。正確には、所得税の確定申告に限って言えば免除されるという制度ですね。

国税庁のルールでは、1か所から給与をもらっている会社員で、給与所得と退職所得以外の所得(これが投資の利益などです)の合計が20万円以下であれば、確定申告書を提出しなくてもよいとされています。

ここでのポイントは「収入」ではなく「所得」であること!

例えば、暗号資産を売って100万円の入金があったとしても、その購入費用や手数料が90万円かかっていれば、所得は10万円です。この場合、他の副業所得などがなければ20万円以下に収まるため、所得税の確定申告は不要になります。

ただし、これはあくまで「給与所得以外の所得が20万円以下」の場合だけ。複数の投資をしている場合は合算が必要です。FXで15万円、暗号資産で6万円の利益があったら、合計21万円になるので申告が必要になります。

住民税は1円から申告が必要な理由

ここが一番の落とし穴なのですが、先ほどの「20万円以下なら申告不要」というのは、あくまで国の税金である「所得税」の話なんです。実は、地方税である住民税には、そのような免除ルールは存在しません。

つまり、投資で得た利益がたとえ1万円であっても、住民税の申告は法的に必須となります。所得税の確定申告をした場合は、そのデータが自動的に市区町村に送られるので住民税の申告も完了したことになりますが、所得税の申告をしない(20万円以下だから)場合は、自分で市役所に行って「住民税の申告」をしなければなりません。

申告を忘れるとどうなる?

住民税の申告を怠ると、最悪の場合「脱税」扱いになったり、延滞金が発生したりするリスクがあります。また、所得証明書の内容に不整合が生じることもあるため、少額だからといって放置するのは危険です。

医療費控除で申告不要が無効になる罠

「今年は医療費がたくさんかかったから、医療費控除で税金を取り戻そう!」と考えている方は要注意です。実は、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などのために自ら確定申告を行うと、「20万円以下の少額所得もすべて申告しなければならない」という義務が発生します。

確定申告書を提出する以上、自身の全ての所得を記載する必要があります。「医療費控除だけ受けて、10万円の投資利益は申告しない(20万円以下だから)」という都合のいい選択はできない仕組みになっているんです。

損得のシミュレーションが大切

少額の投資利益を申告することで増える税金(所得税+住民税)と、医療費控除で戻ってくる還付金を天秤にかける必要があります。場合によっては、あえて確定申告をしない方が手取りが多くなるケースもあり得ます。

無申告はばれる?税務署の調査と罰則

「少額だし、バレないだろう」と考えるのは非常に危険です。最近は暗号資産取引所やFX業者から税務署への情報提供体制が強化されており、お金の流れはガラス張りになりつつあります。

もし税務調査で申告漏れが指摘されると、本来払うべき税金に加えて、無申告加算税(原則15%〜20%)や延滞税といったペナルティが課されます。利益を大きく削るだけでなく、精神的にも大きな負担になりますよね。

特に「億り人」のような大口投資家だけでなく、一般的な会社員の副業レベルでも調査が入る可能性はゼロではありません。正しい知識を持って、適切に処理しておくことが最大の防御策かなと思います。

2024年改正で国保料が増えるリスク

これは会社員の方よりも、個人事業主や退職して国民健康保険(国保)に加入している方に影響が大きい話ですが、2024年度(令和6年度)の住民税からルールが大きく変わりました。

これまでは「所得税は申告して還付を受けつつ、住民税は申告不要にして国保料を安く抑える」という裏技的な方法が使えましたが、これが廃止され、所得税と住民税の課税方式が統一されました。

課税方式統一の影響

株の配当控除や譲渡損失の繰越控除を受けるために確定申告をすると、その所得情報がそのまま国保料の計算に含まれてしまいます。その結果、数万円の税金が戻ってきても、国保料がそれ以上に跳ね上がり、トータルで損をする「足が出る」ケースが増えているのです。

投資の確定申告はいくらから必要か資産別に解説

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投資と一口に言っても、株なのか、FXなのか、暗号資産なのかによって税金のルールは全く違います。「株では損をしたけどFXでは儲かった」といった場合にどうなるのか、資産ごとの違いや特有の制度について深掘りしていきましょう。

株や投資信託の特定口座と損失繰越

上場株式や投資信託の場合、証券会社で口座を開設する際に「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいる方が多いと思います。この場合、利益が出るたびに約20%の税金が自動的に引かれているため、原則として確定申告は不要です。いくら利益が出ても、何もしなくてOKという便利な制度ですね。

一方で、あえて確定申告をした方がいいケースもあります。それが「損失繰越」です。

損失繰越(そんしつくりこし)とは?

株で損をした年に確定申告をしておくことで、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越せる制度です。翌年に利益が出た際、過去の損失と相殺(損益通算)して税金を安くすることができます。負けた時こそ、面倒くさがらずに申告しておくのが賢い投資家の戦略ですね。

暗号資産は雑所得で総合課税になる

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は、税制上もっとも厳しい扱いを受けていると言っても過言ではありません。株やFXが「申告分離課税(一律約20%)」なのに対し、暗号資産は原則として「雑所得(総合課税)」に分類されます。

総合課税は、給与所得など他の所得と合算して税率が決まるため、利益が出れば出るほど税率が高くなる累進課税が適用されます。最大で住民税と合わせて約55%もの税金がかかることも。

投資種類 所得区分 税率 損失繰越
株式・投資信託 譲渡・配当所得 約20%(分離)
FX 雑所得(先物) 約20%(分離)
暗号資産 雑所得(その他) 15%~55%(総合) 不可

さらに厳しいのが、暗号資産は損益通算や損失繰越ができない点です。今年100万円損をして、翌年100万円儲けたとしても、翌年の100万円にはガッツリ税金がかかります。この点は参入前に必ず理解しておきたいリスクですね。

主婦や学生が扶養から外れる壁

専業主婦(夫)や学生の方が投資をする場合、「いくら稼いだら扶養から外れるのか」は死活問題ですよね。ここでも口座の種類が重要になってきます。

「特定口座(源泉徴収あり)」で株や投資信託を運用している場合、そこで得た利益は確定申告をしない限り、扶養判定の所得には含まれません。つまり、極端な話、1000万円利益が出ても申告しなければ扶養に入り続けられます。

しかし、FXや暗号資産、あるいは特定口座(源泉徴収なし)で利益が出た場合は話が別です。これらは所得として合算されるため、合計所得が48万円(基礎控除額)を超えると配偶者控除などの対象外になる可能性があります。また、130万円の壁を超えると社会保険の扶養も外れ、自分で保険料を払うことになるので注意が必要です。

年金受給者の確定申告不要制度とは

リタイア後に投資を楽しんでいる年金受給者の方には、「確定申告不要制度」という特例があります。以下の2つの条件を満たせば、確定申告は不要です。

  • 公的年金等の収入が400万円以下
  • 公的年金等以外の所得(投資利益など)が20万円以下

これも会社員の20万円ルールと似ていますが、あくまで「確定申告」が不要になるだけで、住民税の申告は別途必要になるケースがほとんどですので、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。

投資の確定申告はいくらからすべきか総括

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ここまで見てきたように、「いくらから申告が必要か」という問いへの答えは、その人の属性や投資している商品によって大きく変わります。

まとめ:アクションプラン

  • 会社員で利益20万円以下:税務署への確定申告は不要。ただし市役所で住民税の申告をする。
  • 会社員で利益20万円超:確定申告が必須。
  • 株で損をした人:確定申告をして損失を繰り越す(節税のチャンス)。
  • 医療費控除をする人:少額の投資利益も含めてすべて申告する。

税金は難しくて敬遠しがちですが、正しく理解していないと、知らないうちに脱税状態になったり、逆に払わなくていい税金を払ってしまったりします。「面倒だから」と放置せず、自分の状況に合わせて適切な手続きを行うことが、長く投資を続けていくための秘訣ですね。

※本記事は執筆時点の税制に基づいた一般的な解説です。個別の税務判断については、管轄の税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

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