最近、ニュースやビジネス書で「LPS」という言葉を目にする機会が増えていないでしょうか。スタートアップ投資や地域活性化の文脈で語られることが多いこの仕組みですが、実際に自分が関わるとなると、少し難しそうに感じてしまいますよね。投資事業有限責任組合をわかりやすく理解したいと思っても、専門用語ばかりで頭を抱えてしまう方も多いかもしれません。実は、この仕組みを正しく知ることは、これからの資産運用やビジネスのトレンドを掴む上でとても重要なんです。今回は、私自身が学んだ内容をもとに、その仕組みやメリット、そして最新の法改正について、噛み砕いてお話しします。

- 投資事業有限責任組合(LPS)の基本的な仕組みと役割
- LPSを利用することで得られるメリットと注意すべきリスク
- 2024年の法改正による暗号資産や海外投資への影響
- 株式会社や他の組合制度との具体的な違いと使い分け
投資事業有限責任組合をわかりやすく解説:仕組みと特徴
まずは、LPSの全体像から見ていきましょう。漢字ばかりで少し威圧感がありますが、分解してみると意外とシンプルな構造なんです。ここでは、基本的な仕組みや、誰が何を担当するのか、そして最近話題の法改正について触れていきますね。
LPSの仕組みとGP・LPの役割
投資事業有限責任組合(LPS)とは、一言で言うと「投資のプロと資金の出し手がタッグを組んで行う共同事業」のことです。1998年に施行されたLPS法という法律に基づいているのですが、この仕組みには大きく分けて2種類のプレーヤーが存在します。
それが「GP」と「LP」です。
- 無限責任組合員(GP): ファンドの運営者。投資先を選んだり、経営のアドバイスをしたりする「頭脳と手足」の役割。
- 有限責任組合員(LP): 資金の出資者。お金を出す「パトロン」的な役割。
よく例えられるのが、「プロのドライバー(GP)と、チケットを買った乗客(LP)が乗るバス」という話です。乗客は目的地まで連れて行ってもらうためにお金を払いますが、運転はプロに任せますよね。もしバスが事故を起こしても、乗客はチケット代以上の賠償を求められることはありません。これがLPSの基本的なイメージです。
投資事業有限責任組合のメリット
では、なぜわざわざこのLPSという仕組みを使うのでしょうか。私たちが投資家として参加する場合や、あるいは起業家として資金を集める場合に、いくつか大きなメリットがあるようです。
LPSの主なメリット
- 責任が限定される(有限責任): 投資家(LP)は、自分が出資した金額以上に責任を負う必要がありません。もしファンドが借金を背負っても、個人の財産まで取られることはないので安心感があります。
- 税金が無駄にならない(パススルー課税): 詳しくは後述しますが、株式会社のように「会社で税金を払って、さらに配当で税金を払う」という二重払いを避けられます。
- 柔軟な運営が可能: 法人格を持たない「契約」なので、配当のルールなどを自由に決めやすいのも特徴です。
特に「有限責任」であることは、リスクマネーを供給する上で非常に重要なポイントですね。これがあるからこそ、多くの投資家が安心してベンチャー企業にお金を出せるわけです。
投資事業有限責任組合のデメリット
もちろん、良いことばかりではありません。仕組みを理解する上では、デメリットやリスクもしっかり把握しておく必要があります。
知っておくべき注意点
- GPは無限責任を負う: 運営者であるGPは、ファンドの借金に対して無限の責任を負います。そのため、実務上はGP自身も「株式会社」などの法人にして、リスクを遮断することが多いようです。
- 流動性が低い: 上場株式のように「今日買って明日売る」といったことが簡単にはできません。一度出資すると、数年から10年程度は資金が拘束される覚悟が必要です。
- LPは経営に口出しできない: LPが経営に深く関与してしまうと、法的に「無限責任」を負わされるリスク(セーフハーバーの喪失)があるため、原則としてお金を出すことに徹する必要があります。
2024年法改正と暗号資産
ここが個人的に一番ホットな話題かなと思います。2024年にLPS法が大きく改正され、Web3業界に大きなインパクトを与えました。
これまでは、LPSが「暗号資産(仮想通貨)」を持つことは法的に難しかったのですが、今回の改正で条件付きで解禁されたんです。
具体的には、スタートアップが資金調達のために発行するトークンなどをLPSが取得できるようになりました。これにより、日本の投資家もWeb3領域のスタートアップへ積極的に投資できるようになり、日本のWeb3産業の海外流出を防ぐ一手になると期待されています。
海外投資の制限も緩和
これまでは「資産の50%未満しか海外に投資してはいけない」というルールがありましたが、これも改正されました。日本のスタートアップが海外進出する際に、LPSから追加出資しやすくなったのは大きな変化ですね。
民法上の任意組合との違い
「組合」と聞くと、民法上の「任意組合」を思い浮かべる方もいるかもしれません。友人同士で事業をする時などによく使われますが、LPSとは決定的な違いがあります。
| 比較項目 | 投資事業有限責任組合(LPS) | 任意組合(NK) |
|---|---|---|
| 投資家の責任 | 有限責任(出資額が上限) | 無限責任(個人の全財産に及ぶ) |
| 主な用途 | VCファンド、企業再生 | 建設JV、小規模な共同事業 |
任意組合の最大のリスクは、もし事業が失敗して巨額の借金を負った場合、投資家全員が連帯して借金を返さなければならない(無限責任)という点です。LPSはこのリスクを構造的に排除しているので、他人からお金を集めて投資をするなら、LPSの方が圧倒的に安全だと言えますね。
投資事業有限責任組合をわかりやすく実践:設立と税務

仕組みがわかったところで、次はもう少し実務的な部分に踏み込んでみましょう。「実際に設立するにはどうすればいいの?」「税金はどうなるの?」といった、投資事業有限責任組合をわかりやすく実践するためのポイントを整理します。
株式会社や匿名組合との違い
投資をするための「箱(ビークル)」としては、株式会社や合同会社、あるいは匿名組合(TK)という選択肢もあります。なぜLPSが選ばれるのか、比較してみましょう。
株式会社 vs LPS
株式会社で投資を行うと、利益が出た時に「法人税」がかかり、さらに株主に配当する時に「所得税」がかかります。これが二重課税です。一方、LPSは法人格を持たないため、組合自体には税金がかからず、投資家に直接利益が渡ります。投資リターンを最大化するにはLPSの方が有利なんですね。
匿名組合(TK) vs LPS
不動産投資などでよく使われる匿名組合ですが、こちらは投資家が「営業者にお金を貸しているだけ」という位置付けに近いです。そのため、投資対象(不動産や株)に対する直接的な権利を持ちにくいという側面があります。ベンチャー投資のように、ある程度権利をしっかり持ちたい場合はLPSが選ばれることが多いようです。
LPS設立の流れと費用
LPSを作るのは、会社を作るのとは少し勝手が違います。基本的には「契約」なので、契約書を結んで登記をすることで成立します。
- 契約書の作成: GPとLPで「投資事業有限責任組合契約(LPA)」の内容を決めます。
- 出資の履行: 最初の出資金を口座に振り込みます。
- 登記申請: 効力発生から2週間以内に登記を行います。
気になる費用ですが、株式会社の設立よりも少し安く済む場合が多いようです。
設立コストの目安
- 登録免許税: 30,000円(株式会社は15万円〜なので割安です)
- 専門家報酬: 司法書士さんなどにお願いする場合、10万〜50万円程度
ただし、LPSを運用するには金融商品取引法(金商法)の規制も関わってくるため、プロ向けの特例(適格機関投資家等特例業務)の届出など、別途手続きが必要になることもあります。このあたりは専門家のサポートが必須かなと思います。
パススルー課税など税務の基礎
先ほど少し触れた「パススルー課税(構成員課税)」について、もう少し詳しく見ていきましょう。これがLPS最大のメリットの一つです。
LPSが得た利益は、LPSという箱の中に留まることなく、そのまま「パイプ(導管)」を通って投資家(LP)に届けられます。税務上、LPSは透明な存在として扱われるわけです。
注意したいのは、「現金を受け取っていなくても税金がかかることがある」という点です。LPSの計算上で利益が出ていると、実際には再投資されて手元に現金が来ていなくても、その年度の所得として課税されるルールになっています。これを「ファントム・インカム(幽霊所得)」なんて呼ぶこともあるそうで、資金繰りには注意が必要ですね。
※税務処理は非常に複雑で、個々の状況によって異なります。具体的な申告の際は、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
解散時の手続きと清算
LPSには通常、7年から10年程度の「存続期間」が設定されています。期間が満了したり、目的を達成したりすると、解散・清算の手続きに入ります。
解散すると、残っている借金を返済し、最後に残った財産(株式や現金)を組合員に分配します。これを「残余財産の分配」と言います。時には、現金化しきれなかった株式をそのまま現物で配ることもあるようです。
最後は「清算結了の登記」を行って、LPSはその役目を終えます。始まりから終わりまで、契約に基づいて厳格に進められるのが特徴的ですね。
投資事業有限責任組合をわかりやすく総括

今回は、投資事業有限責任組合(LPS)について、その仕組みから最新の法改正まで見てきました。
簡単にまとめると、LPSは「リスクを限定しながら、プロと協力して大きなリターンを目指すための最強のチーム」と言えるかもしれません。特に2024年の法改正で暗号資産への投資も可能になり、その重要性はますます高まっています。
もし、ベンチャー投資やファンド組成に興味を持たれたなら、投資事業有限責任組合をわかりやすく解説している専門書籍を読んでみるのも良いですし、専門家に相談してみるのも一つの手です。難しそうな制度も、一つひとつ紐解いていけば、私たちの資産形成の強力な武器になるはずです。
