防府天満宮の人形供養「人形感謝祭」費用や方法を解説

大切にしてきた人形やぬいぐるみとの別れを考えたとき、ただ捨てるという選択に心を痛める方は少なくないでしょう。山口県にある防府天満宮では、そうした想いに寄り添う人形供養として、人形感謝祭を執り行っています。この行事はNHKの番組でも紹介され、多くの注目を集めました。人形の処分に悩むのではなく、感謝を伝えてお別れをするための選択肢です。この記事では、防府天満宮の人形供養に関する費用や受付ができないケース、そして人形を無料で引き取れる里親探しの仕組みまで詳しく解説します。また、遠石八幡宮など他の神社との違いにも触れながら、失敗や後悔のないお別れのために必要な情報をお届けします。単に捨てるのではなく、感謝の志を込めて人形との思い出を締めくくる方法を一緒に見ていきましょう。

この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。

防府天満宮の人形感謝祭の受付期間や費用
人形の持ち込みから供養までの具体的な流れと注意点
供養後の人形がどうなるかという里親探しの仕組み
山口県内の他の神社との人形供養内容の比較

防府天満宮の人形供養「人形感謝祭」の概要
防府天満宮で人形供養する流れと他社比較

防府天満宮の人形供養「人形感謝祭」の概要

NHKでも紹介された人形感謝祭
人形を「捨てる」のではなく感謝を伝える場
人形供養を依頼する際の費用について
初穂料に添える「志」の考え方
郵送など受付が「できない」場合の注意点

NHKでも紹介された人形感謝祭

防府天満宮で執り行われる人形感謝祭は、メディアで取り上げられたことで全国的に知られるようになりました。特に、NHKの番組「ドキュメント72時間」で2023年4月に放送された「山口・防府天満宮人形にさよならを」という回は、大きな反響を呼びました。

番組では、娘の雛人形を持ち込む父親や、孫の五月人形を納める祖父など、様々な人々が大切な人形との別れのために神社を訪れる様子が描かれました。それぞれの想いが込められた人形との最後の時間に、多くの視聴者が心を動かされたことでしょう。

この放送の影響は大きく、翌年の人形感謝祭では受付件数が前年の約2倍にあたる1200件にも上ったと報じられています。県内だけでなく、県外からも多くの人形が寄せられるようになり、この行事への関心の高さがうかがえます。18年以上続くこの伝統的な行事は、単なる供養に留まらない、人と人形の物語を繋ぐ大切な場として認識されているのです。

人形を「捨てる」のではなく感謝を伝える場

人形供養を考えるとき、多くの方が「捨てる」という行為に罪悪感や寂しさを感じます。防府天満宮の人形感謝祭は、このような気持ちを汲み取り、人形を単に処分するのではなく、これまでの感謝を伝えるための儀式として位置づけられています。

長年一緒に過ごしてきた雛人形や五月人形、子供が大切にしていたぬいぐるみには、家族の成長を見守ってきた思い出がたくさん詰まっています。そのため、ゴミとして手放すことには強い抵抗感が伴うものです。

人形感謝祭では、持ち主自らがこれまでの感謝を込めて人形をきれいにし、御守頒布所で受付を済ませた後、回廊内の雛壇へとお飾りします。ご自身の手で飾り付け、御神前で感謝を伝えるという一連のプロセスを通して、気持ちの整理をつけて穏やかな気持ちでお別れができるようになっています。これは、機械的な処分とは全く異なる、心のこもった日本の美しい文化と言えるでしょう。

人形供養を依頼する際の費用について

防府天満宮で人形供養をお願いする際には、初穂料が必要となります。費用は、持ち込む人形の大きさや種類によって明確に定められています。

具体的には、みかん箱程度の大きさの箱に納めた人形で、1箱あたり5,000円が目安です。もし複数の箱になる場合は、その箱数に応じた初穂料をお納めすることになります。

一方で、ひな人形の壇飾りやガラスケースに入った人形のように、サイズが大きかったり特別な設えがされていたりするものについては、10,000円の初穂料が設定されています。これらの人形は、雛壇に飾る際にも相応の場所を必要とするため、費用が異なると考えられます。受付でどの区分に該当するかは、神社の職員の方が判断してくださるので、不明な点があれば尋ねてみるとよいでしょう。

初穂料に添える「志」の考え方

防府天満宮の案内には、初穂料について「5,000円にお気持を添えてお願いしております」といった記述が見られます。この「お気持ち」とは、一般的に「志」と呼ばれるもので、規定の初穂料に加えて、感謝の気持ちとして任意でお納めする金銭を指します。

これは義務ではありません。したがって、必ずしも追加で費用を包む必要はないのです。しかし、人形への感謝の気持ちが特に深い場合や、神社の活動に賛同する意を示したい場合に、個人の判断でお納めするものと理解しておくと良いでしょう。

もし「志」を添える場合、その金額に決まりはありません。あくまで持ち主の感謝の度合いによるものです。初穂料とは別の白い封筒に「御初穂料」または「玉串料」と表書きし、その下にご自身の名前を書いてお渡しするのが丁寧な作法となります。

郵送など受付が「できない」場合の注意点

防府天満宮の人形感謝祭を利用する上で、最も重要な注意点の一つが受付方法です。公式サイトにも明記されている通り、郵送での受付は一切行っていません。遠方にお住まいの方であっても、必ず受付期間内に直接、神社へ人形を持参する必要があります。

これは、前述の通り、持ち主自身が人形を飾り、直接感謝を伝えるというプロセスを大切にしているためと考えられます。

また、受付は年中行われているわけではなく、期間が限定されている点にも注意が必要です。例年、人形の受付期間は2月11日から2月末までとなっています。時間も午前8時半から午後5時までと決まっています。この期間を逃してしまうと、次の年まで待たなければなりません。人形供養を検討している方は、事前に公式サイトで正確な日程を確認し、計画的に準備を進めることが大切です。

防府天満宮で人形供養する流れと他社比較

供養後の人形は最終的に処分されるのか
里親探しで人形を無料で引き取れる制度
山口県内で供養できる他の神社は？
比較対象としての遠石八幡宮
まとめ：防府天満宮の人形供養で感謝を伝えよう

供養後の人形は最終的に処分されるのか

防府天満宮の人形感謝祭の大きな特徴は、供養後のお祓いを済ませた人形が、すぐに処分されるわけではない点にあります。毎年3月1日に感謝祭の祭典が執り行われた後、人形たちは「里親探し」という形で、新たな持ち主の手に渡る機会が与えられます。

これは、「もったいない、是非大切にしたい」という想いを持つ人へ、人形との新たな縁を繋ぐための取り組みです。回廊内に飾られた多くの人形やぬいぐるみの中から、気に入ったものを引き取ることができます。

つまり、お別れした人形が、また誰かの元で大切にされる可能性があるということです。これは、人形を手放す側にとっても、心が救われる仕組みではないでしょうか。ただし、里親探しの期間が終了した後、引き取り手のいなかった人形が最終的にどのように扱われるか（お焚き上げなど）についての詳細な公式情報は見当たりません。気になる方は、直接神社へ問い合わせて確認することをおすすめします。

里親探しで人形を無料で引き取れる制度

前述の通り、防府天満宮ではお祓いを済ませた人形やぬいぐるみを、希望者が無料で引き取れる「里親探し」を実施しています。この制度には、いくつか知っておくべきルールがあります。

開催期間と場所

里親探しの期間は、感謝祭当日の3月1日から3月5日までです。時間は基本的に午前9時から午後5時までですが、初日の3月1日のみ、祭典終了後の午前9時半頃からの開始となります。場所は、人形が飾られている回廊内です。

引き取る際の注意事項

誰でも無料で人形を引き取ることができますが、守るべき大切な約束事があります。

まず、個人または団体で愛情をもって大切にしてくれることが条件であり、転売や営利目的での引き取りは固く禁じられています。

また、お一人でいくつ持ち帰っても問題ありませんが、希望者が多数の場合は抽選となることもあります。ひな人形や五月人形のようにセットになっているものは、原則として全てまとめて持ち帰る必要があります。

引き取りの際に初穂料などは必要ありませんが、御神前にて人形との新しいご縁に感謝をしてから帰ることが勧められています。

山口県内で供養できる他の神社は？

山口県内で人形供養を考えている場合、防府天満宮の他にも選択肢があります。データベースの情報によると、特に知られているのが宇部市にある「宇部護国神社」です。

宇部護国神社では、毎月第4土曜日に人形供養祭を執り行っており、防府天満宮のように年に一度の行事ではないため、ご自身の都合に合わせて利用しやすいという利点があります。受付品目も人形やぬいぐるみに加え、結納品や遺品など、幅広く対応しているのが特徴です。

供養された人形は、希望者がいれば里親へ譲渡され、最終的にはお焚き上げによって天に還されます。また、宇部護国神社では郵送での受付も相談可能とされており、遠方の方や直接持参することが難しい方にとっては、非常に利用しやすい選択肢となるでしょう。

比較対象としての遠石八幡宮

防府市や周南市近辺にお住まいの方の中には、周南市の「遠石八幡宮」での人形供養を検討する方もいるかもしれません。しかし、2025年現在の遠石八幡宮公式サイトを確認した限りでは、防府天満宮や宇部護国神社のような、定例の人形供養祭に関する公式な案内は見当たりませんでした。

個別の祈願として対応してもらえる可能性はありますが、人形供養を専門に、かつ定期的に行っているわけではないようです。そのため、人形供養を主たる目的として神社を探している場合は、防府天満宮や宇部護国神社を検討する方が確実と言えます。

ここで、防府天満宮と宇部護国神社の特徴を比較してみましょう。

項目	防府天満宮	宇部護国神社
開催頻度	年1回（3月1日）	月1回（毎月第4土曜日）
初穂料	5,000円から（明確な規定あり）	「お気持ち程度」（3,000円〜5,000円が一般的）
供養後の扱い	里親探しがメイン	里親探しとお焚き上げ
受付品目	人形・ぬいぐるみ	人形、結納品、遺品など幅広い
郵送受付	不可	相談可能